歯医者は儲かってそう!って声は歯科関係者以外の方からよく聞く声である。
しかし実際はそうではない。
歯科医院経営は利益率が低いと言われている。なぜなのだろうか?
歯科医院経営は利益率が低いと言われている理由について書いていきたい。
歯科医院の収入源は?
歯科医院の収入源は主に3つほどある。
- 保険診療による収入
- 自費診療による収入
- 歯ブラシや歯磨き粉などの物販による収入
それぞれ深掘りしていく。
保険診療による収入
まずは保険診療による収入についてみていきたい。
保険診療は全国一律のルールで決められており、最低限の治療を受けることは可能であるので、ニーズは高く、ほとんどの歯科医院が保険診療をメインでおこなっている。
しかしながら、保険診療のメリットでもありデメリットの一つとして、どこで、どんな先生が、どれだけの時間をかけて治療したとしても同じ価格なのである。
同じ治療を田舎で行っても、都心部で行っても同じだし、新卒が行っても、ベテランが行っても同じだし、時間をかけて丁寧に行っても、時間をいかに短くして雑になっても同じなのである。
例えば、虫歯の治療が必要になったとして
田舎の家賃が格安な場所の歯科医院で行っても、都心部の家賃が高い場所の歯科医院で行っても保険診療の場合同じ金額なのである。
新卒の先生の治療のクオリティでも、大先生の治療のクオリティでも同じ金額なのである。
どれだけ雑に治療されても、どれだけ丁寧に治療されても同じ金額なのである。
そして金額的に歯科の保険診療は以下に比べて、とても安価に設定されている。
さらに医科と違うのが、歯科治療はどうしても時間がかかるということである。
診るだけ、塗るだけ、薬出すだけ、というわけにはいかず、麻酔をしたり、削ったり詰めたりと作業工程が多いため、時間がどうしてもかかるのである。
つまり時間はかかるし、価格は低いしで、時間単価が極端に低いのである。
さらに、保険診療で使用する材料だからといって安いとは限らない。
いわゆる銀歯に使われている、金銀パラジウム合金は一時、金よりも高かった。
それにも関わらず、保険点数は低いため銀歯を入れれば入れるほど赤字になるということもある。
そのため、ちゃんと時間をかけて保険診療を行うことは利益が低いのである。
自費診療による収入
保険診療のように金額が一律ではないので、自由に設定できる。
その反面、金額が保険と比較し高額であるためニーズが保険診療と比較して少なくなる。
保険診療と同じように、歯科治療である以上、治療時間がかかるのは同じであるが、金額が高いため利益率が高いのである。
自費診療による収入が、歯科医院経営の利益率を高める一つの手段である。
いかに自費率を上げるかが重要になる。
歯ブラシや歯磨き粉などの物販による収入
これは補足的にはなるが、歯ブラシや歯磨き粉などの物販も収入の一つである。
販売している歯ブラシや歯磨き粉の良さなどを説明する時間はかかるが、そこは歯科衛生士さんの力を借りたい。
ただこれも利益率は低い。最近はネット通販やロフトや東急ハンズなどの量販店で安く売られていたりするためである。
時間はかからないが、単価が低い。
これら主な3つの収入源のうち、自費診療以外は利益率が低いのである。
歯科医院経営はスモールスタートしにくい
主な収入源の利益率が低いうえに、歯科医院は経営に必要なレントゲンやユニット(チェア)などの機材が非常に高額なことや、材料も高いことなどから、スモールスタートというのが難しく、開業にはある程度の資金がいることで、借入額が非常に大きくなる。
借り入れが大きいために返済額が大きい、そのうえ利益も低いとなるとなかなか大変である。
結果的に歯科医院経営は利益率が低いのである。
なんとか、年商1億円の歯科医院に達成したとして、そこから利益を捻出したものを医院や患者に還元できている歯科医院がどれほどあるのだろうか。それがいい歯医者かそうでないかのポイントのようにも思う。
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