年商1億円の歯科医院は全国の歯科医院の上位8%と言われている。
なぜそれだけしかいないのか、その難しさについて平均の値を元に考察していきたいと思う。
平均値から計算する平均的な歯科医院の売り上げ
歯科医院にあるユニット(チェア)が1台あると、レセプト枚数の平均は120枚らしい。
そして、レセプト1枚あたりの平均点数はどのぐらいかで、おおよその月の保険点数が計算される。
令和2年度の保険点数の県別の平均点は以下の通りである。
都道府県名 | 平均点数 | 都道府県名 | 平均点数 |
---|---|---|---|
北海道 | 1,410点 | 青森県 | 1,331点 |
岩手県 | 1,283点 | 宮城県 | 1,116点 |
秋田県 | 1,366点 | 山形県 | 1,105点 |
福島県 | 1,179点 | 茨城県 | 1,155点 |
栃木県 | 1,086点 | 群馬県 | 1,120点 |
埼玉県 | 1,122点 | 千葉県 | 1,163点 |
東京都 | 1,158点 | 神奈川県 | 1,226点 |
新潟県 | 1,199点 | 富山県 | 1,100点 |
石川県 | 1,204点 | 福井県 | 1,212点 |
山梨県 | 1,188点 | 長野県 | 1,130点 |
岐阜県 | 1,107点 | 静岡県 | 1,096点 |
愛知県 | 1,167点 | 三重県 | 1,088点 |
滋賀県 | 1,076点 | 京都府 | 1,231点 |
大阪府 | 1,354点 | 兵庫県 | 1,264点 |
奈良県 | 1,119点 | 和歌山県 | 1,251点 |
鳥取県 | 1,179点 | 島根県 | 1,155点 |
岡山県 | 1,263点 | 広島県 | 1,295点 |
山口県 | 1,215点 | 徳島県 | 1,296点 |
香川県 | 1,296点 | 愛媛県 | 1,133点 |
高知県 | 1,242点 | 福岡県 | 1,290点 |
佐賀県 | 1,192点 | 長崎県 | 1,190点 |
熊本県 | 1,190点 | 大分県 | 1,313点 |
宮崎県 | 1,305点 | 鹿児島県 | 1,159点 |
沖縄県 | 1,238点 |
【地方厚生(支)局HP参照】
全国の平均は約1288点である。
チェア3台で開業した場合、3×120×1288=463680点/1か月の収益となる。
1年間で、463680×12=5564160点=約5600万円である。
これに自費診療分や物販などでプラス400万で約年間6000万円の売り上げとなる。
結果的に年商1億円の歯科医院には程遠い数字になるわけである。
平均的な歯科医院を維持するのも簡単ではない
さらにユニット1台あたりの新規患者数は10人/月らしい。
3台で30人増えるが、既存の患者さんが来続けると限らない。
色々な理由でキャンセルや来院の足が途絶えることは多々ある。
既存の患者さん(360人)の20%でも来なくなってしまうとすると360×20%=72人である。
新規患者数より減っていく患者さんの方が多くなれば、その文レセプト枚数も減っていってしまう。
平均を維持するのもなかなか大変なことである。
保険のみで考えた場合、平均的な歯科医院を維持しようと思うと、再診率を上げるか、レセプト点数を上げるか、初診患者の獲得率を上げるしかない。
しかし、再診率を上げるといっても、2.5回以上だと患者は治療が多いと感じている可能性が高いという意見もある。あまりに再診率をあげようとした結果、逆効果になることも考えられる。
またレセプト点数を上げるとなっても、平均点数の1.2倍を超えるのは危険である。なぜなら平均点数の1.2倍を超えると集団的個別指導の対象に近づくからである。
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